50代を過ぎ病気でもないのに心身の不調がずっと続いている。そんなあなたは、男性の“更年期障害”を疑ってみてもいいかもしれない。
更年期と聞くと女性特有の問題と思われがちだが、男性にも当てはまるのだとか。今回は、研究歴25年、男性医学分野の研究者である、順天堂大学大学院医学科の堀江重郎教授に詳しい話を伺ってみた。
東京大学医学部卒業。順天堂大学大学院医学科外科教授。日本泌尿器科学会指導医。日本メンズヘルス医学会理事長。
テストステロンの
低下が引き起こす
男性の“更年期障害”。
― 男性の“更年期障害”はどういった症状ですか?
「疲れがとれない」「意欲がわかない」「よく眠れない」「イライラする」「集中力が続かない」など。中高年男性の方によくありがちな悩みですが、単なる加齢によるものと考えるのは間違いです。これらは男性の“更年期障害”の可能性が考えられます。
最近は著名人男性の方が“更年期障害”を公表して少し話題になりましたが、認知度が未だ低いため、自覚していない男性が多いのではないでしょうか。厚生労働省の調査でも男性の”更年期障害”の患者数は2割未満にとどまっていますが、男性は我慢しやすい傾向があるため、症状の程度に限らなければ、半数以上の方が”更年期障害”を経験していると思います。さらに、私どものメンズヘルス外来では、コロナ禍で3倍くらいは受診が増えたように感じています。もはや他人事ではありません。
男性の “更年期障害” の
セルフチェックリスト
― その原因については何が考えられるでしょう?
男性の“更年期障害”を引き起こす原因とされる のが、主要な男性ホルモンであるテストステロンの低下です。
そもそもテストステロンの産生能力は、加齢と精巣機能の老化で低下しますが、ストレスによってもテストステロンは大きく影響を受けます。長時間労働や仕事内容の変化、職場の人間関係などのストレスでも急激に減少し、50代以降の中高年だけではなく、30代や40代でも症状があらわれることがあるのです。
体で活躍できるテストステロンは
実はすごいスピードで減っている
テストステロンは、もともと狩猟行為に深く関連するホルモンだと言われています。私たちの先祖は獲物を狩るために歩き回り、仲間と協力しながら仕留めた獲物を住処に持ち帰り、家族に分け与えてきました。こうした狩猟行為の一連の動作では、獲物を狩る「意欲」と、獲物のありかを探る「認知力」、そして歩き回る「筋力」が必要とされ、テストステロンはこれらすべてを司るホルモンなのです。
また、性機能を促進させるほか、過剰な免疫反応による炎症を抑えることもわかっています。つまり、テストステロンが低下すると、活力や筋肉が失われフレイル(虚弱)や認知症、生活習慣病などさまざまな病気リスクが高まり健康寿命さえ脅かされるのです。
人との出会い、
運動、睡眠などで
増やせるテストステロン。
― テストステロンを増やす方法はありますか?
テストステロンが高くなると、活動的になり、チャレンジ精神が旺盛になるだけでなく、社会貢献に対する意欲や公明正大さを高めるといった働きも確認されています。そのため、テストステロンは「社会性のホルモン」と言われるほどです。ですので、テストステロンを増やすためには、まず人との関わりが必要です。仕事でもいいですし、ボランティア、趣味、あるいは近所の居酒屋でも…。日常生活でコミュニティを持つことがテストステロンを維持するために大事です。
さらに人から褒めてもらうことも大事です。私たちの先祖の狩猟行為について話しましたが、獲物を取って帰るとみんな喜びますよね。それが基本で、それを支えているのがテストステロンなのです。仕事で褒められればいいですが大きな仕事のパーツになっていると、なかなか評価されにくい。そういう場合は飲み屋に行ったり、異性と接する機会を持ったり、学生時代の友だちと会う機会をつくることもテストステロンを増やしてくれます。
コロナ禍で私どものクリニックで男性の“更年期障害”についての受診が増えたのも、テレワークや外出自粛が求められた結果、人と直接接触する機会が減り、テストステロンが低下した可能性が考えられます。
テストステロンの減少が甚だしく健康や生活に支障を来している場合はホルモン補充療法が推奨されますが、多くは生活習慣の見直しでテストステロンの生産能力を高められます。
まず生活に取り入れると良いのが運動です。運動をすると筋肉が刺激され、テストステロンがつくられます。野球やサッカーなどチームを組み仲間と一緒に楽しめるスポーツがより効果的です。またテストステロンは夜中につくられるため、夜更かしは禁物。十分な睡眠時間を取ることも大切です。ストレスも大敵なので、ストレッチや瞑想、ウォーキングなどのほか、趣味に没頭するなど、自分なりのストレス解消法を持つと良いでしょう。
身体だけでなく
心の健康も改善する注目の活力成分『タマネギ由来アミノ酸』。
― 食生活もテストテロンと関係がありますか?
硫黄(原素記号・S)を含む タマネギ由来アミノ酸
男性の“更年期障害”の症状は、⾝体的、⼼理的、性機能の3つに大きく分けられますが、『タマネギ由来アミノ酸』は比較試験においてこれらを総合した男性更年期症状について改善が認められています。その中でも『タマネギ由来アミノ酸』は他の食品に比べ、⼼理的、つまり心の健康を改善してくれる点が画期的といえる成分です。心と身体は密接につながっており、心が元気になることで身体も元気になるという好循環が生まれ、活力溢れる毎日を過ごせます。
ただし、『タマネギ由来アミノ酸』は非常に壊れやすい成分で、普通にタマネギを食べて摂ろうとしてもカットなど調理の段階で大部分が失われてしまいます。 最近は『タマネギ由来アミノ酸』を手軽に摂れるサプリメントが発売されているようなので、これらを利用するのもいいかもしれません。男性の“更年期障害”は女性の場合と違い、個人差が大きく期間もさまざまです。『タマネギ由来アミノ酸』を摂れば自分の身体でテストステロンをつくれるので長く無理なく続けられると思います。しかも食品なので安全性も高いです。
『タマネギ由来アミノ酸』を摂ると、AMSスコアで総スコア
(身体的、心理的、性機能性的)が優位に低下し改善
AMSスコア=世界的に知られる男性の“更年期障害”の質問票
対象 50,60代男性 n=48
(出典)薬理と治療 2017; 45(4):595-608.
人生100年時代と長くなり、例えて言えば、サッカーの試合の前半戦と後半戦のような感じになってきています。その中で訪れるハーフタイムが男性の更年期です。その時に余裕を持っているのか、もう倒れそうになりボロボロなのかで、後半戦が大きく変わります。 せっかくならプレーヤーとして、ハーフタイムにもう一度体調を整え “更年期障害”を克服して後半戦もハツラツと過ごしてもらいたいものです。
また近年、従業員のプレゼンティズム(健康問題が理由で生産性が低下している状態)が問題になっていますが、これにもテストステロンの低下が関係している場合も多く、積極的な対策が望まれます。
生涯現役を貫くためにも、テストステロンを増やす『タマネギ由来アミノ酸』を毎日の食生活に積極的に取り入れてください。
2023.03.10
kenbilife編集部